「熊川第九」症候群
古い話しになりますが、
今年三月のK.バレエカンパニーの
「ベート-ヴェンの第九の話の話し。。。
私もバレエを見るようになってから、
音楽を聴いている時に、
ふと、バレエ的な音の聞き方をしている時があります。
それは、チャイコフスキーに限ってことではありません。
先日、チャイコのシンフォニーを全曲通しで聞いた時、
不思議とバレエを観ている時の感覚が現れては消えてゆきました。
熊さんの第九は
暗転からの第一楽章のオケが出したViolinの第一音を耳にして
全体の評価が決まってしまった感がありました。
暗転の中から現れるであろう、
第九の第一楽章の第一音は
頭の中ですでにイメージされていました。
それも随分前から。
たぶん、熊さんが、第九をやるって話を聞いたときから、
その音は、頭の中に響きはじめた。
それは、ベングラー、カラヤン、ベーム、クレンペラー、
オーマンディ、シューリヒトでもなく、、
熊さんの第九だった。
人は、期待を大きくするばかりに、
現実に失望をしてしまう時が多々あります。
そんなに現実は酷くなくても。
しかし、暗転の暗闇から鳴り出した
オーケストラのViolinの第一音は、
現実に、まったく酷い音からはじまった。
私は、一瞬、自分の耳を疑った。
そして息を止めた。
暗闇の奥から聞こえてきたのは、
柔らく、しなやかな、憂いをもったViolinのSound(音)ではなかった。
その音は、響きはなく、硬く、広がりのない、薄っぺらいものであった。
それは、まるで、古い電蓄が、
舞台に置かれているかのような、
そして生気がなく、無機質な音であった。
私は、この音とこれから約一時間嫌でも
付き合わなくてならないかと思うとぞっとした。
勘弁してほしい。
そう思った。
熊さんのバレエでなければ、、
私は躊躇なく、席をあとにしたと思う。
音楽が数小節進むと、
自分の耳がおかしいのではない事に確信を持った。
私の耳ではなく、
現実の舞台の上のオーケストラから
聞こえてくる音がおかしいのである。
目の前にオーケストラがいるのに、音が生ではない。
何かが違う。
まず、頭に浮かんだのは、オーケストラが、
舞台2階にいるため、天井が低く、
また奥行きないため、
このような音が、観客に届くのか。
しかし、そのようなことで、このような音にはならないだろう。
肝心の舞台上バレエそっちのけで、
五感のうち耳だけが研ぎ澄まされて行く、
音楽が進むにつれて、音の傾向がわかってきた。
管弦楽の弦の音が、艶がなく、レンジが狭く、
ダイナミックスに欠けている。
この音は、ワルターが晩年振った、
コロンビア交響楽団の弦の音を想い起こさせた。
気がつくと、この悲惨な音の犯人探しをはじめてた。
オペラグラスでオケを見渡すと、
なんと、スタンドマイクが、左の弦楽器側に、
2本(昔良く、落語なんかの収録に仕様したタイプのマイク)、
管楽器側に1本たっているのがわかった。
指揮者正面には、カメラ?と思われるものが立っている。
まさか、マイクでオケの音を拾って、
PAで、SPを鳴らしているのではないか?
まさか?、、、
もしそうなら、聞こえてくる音は理解できる。
マイクが拾った音は、音の強弱の変化を消して、
一本調子になり、直接音から拾うため、響きは薄れる。
しかし、それらしい、スピーカーが会場には見当たらない。
あるのは、会場を巡るように設置された、
安物のサテライト型のスピーカー、
それと、舞台のちょうど中央の上にあるスピーカーらしき、黒い物体?、、、、
続く、、、
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